「広い背中も煙草臭いシャツも家事をそつなくこなす器用さもぜーんぶ嫌い。 お義兄様はわたくしの好みとは正反対です」<br />
音楽教育の名門、竜胆女子学院に通い、ピアノを専攻しているお嬢様で義妹の“水無瀬紗由理”。成績優秀な生徒の中から毎年選出される代表生徒の贈り名「薔薇姫」と呼ばれ、生徒たちの憧れの的である。<br />
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「好きな人の胸の中が何より居心地が良いものなんです、女って」<br />
紗由理の実の姉で人妻の“裕子”。彼女は家の反対を押し切って卒業後すぐに結婚。狭いアパート住まいながらも幸せいっぱいな毎日を送る。<br />
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慎ましくも何不自由のなかった生活に変化が訪れる。気のせいかと考える主人公。しかし、妻、そして義妹の様子がおかしい。<br />
褒めたことのないマニキュアと嬉しげに塗る妻。急に帰りの遅くなった義妹。<br />